看護系大学・大学院
教育・研究では、「なぜそうなのか?」と疑問を持ち考えること、探求し続けることが必要となります。数年単位で計画しながら進める仕事も多いため、じっくりと考えることが求められます。次世代と一緒に看護の未来を考えることは、不安を希望に変えることにつながります。大変さはありますが、看護の未来の希望を描きながら仕事ができることは、大学の大きな魅力となります。
仕事の内容
教育・研究・大学運営への参画が主な仕事となります。
教育では、学生の到達目標や評価方法を含めた計画(シラバス)を作成・公表した上で授業を展開していきます。研究では、自分の探求テーマについて、調査や実験を積み上げていきます。得られた結果は、学会誌などで発表し、社会に還元していくことが求められます。他の研究者の論文の査読を含め、学会運営に関わることも重要な役割です。大学運営では、カリキュラムの検討、入学試験や広報に関わる仕事もあり、学内の教職員との連携が大切です。
全ての仕事において、他者と連携・協力する力、計画から評価まで文書化していく力が求められます。
一日の流れ(例)
働く人のエピソード
[20代/男性]
急性期病院で病棟スタッフとして働いていましたが、研究や教育活動に関わりたいという思いが常にありました。大学などの教育機関に転職することを考えると、教育経験や研究実績を求められることがほとんどであり、病棟スタッフとして働きながら経験や実績を積むことは困難だと考えていました。大学院時代の恩師に相談したところ、病院に籍を置きながら学部教育に携わることができる制度を紹介され、学部教育に携わることができました。また学部教育に携わる傍らで、論文の執筆や学会への参加もでき、転職への足掛かりを作ることができました。
私のキャリア
訪問看護ステーション→病院(500床以上)→養成所・大学等
[30代/女性]
キャリア形成にあたって経験してよかったと思うことは、すべて!です。
看護師として病院勤務のあと、NPO法人・大学医学系研究科寄付講座での研究支援の仕事に携わり、少し遅れてから看護系大学の教員に着任したので、大学教員としてのキャリアは出遅れていますが、すべてが異なる経験で関連しながらつながってきているので満足しています。
このあと自分がどんなキャリアになるのかは、ある意味楽しみです。
私のキャリア
病院(500床以上)→その他(NPO法人(臨床研究を支援する組織))→養成所・大学等→養成所・大学等
[50代/女性]
大学院で博士をとってから臨床現場に戻ったことはその後の教育にとてもよかったと思っています。
学位をとれば皆教育研究職に就くと思われていますが、現場の楽しさを教育に活かすことは、直近の経験の方が現実的でよいと思います。また研究に関しても、現場の事情を考慮することができるようになり、頭でっかちにならないよう自らの態度を振り返ることもできると思います。教員として居続けるために学位を持っていることが求められますが、大学院での学び、学位取得に向けた努力の成果をどのように使うかは、今一度考えてみることも必要なのではないかと思います。
私の場合、看護がとても楽しかったので現場に戻りましたが、現場と教育研究の関係が離れたものではなく、行き来しやすいものであればよいなと思っています。
私のキャリア
病院(500床以上)→病院(500床以上)→養成所・大学等→訪問看護ステーション→養成所・大学等→養成所・大学等
[60代/女性]
自分自身の能力を高める学習の機会が多くあったことや、大学院に進学し学位などを取得することが、自分のキャリアアップにつながり、他者からも認められ、継続して働くことができたと考えています。
私のキャリア
病院(300~399床)→病院(400~499床)→病院(100~199床)→病院(300~399床)→養成所・大学等→病院(300~399床)→養成所・大学等
[60代/女性]
保健師として行政で働いていましたが、福祉への配属、精神保健福祉士の取得がきっかけで、働きながら通信教育の福祉大で社会福祉学士、修士、社会福祉学博士を取得しました。このことで保健師としての視野が広がり、より住民の生活に密着した保健活動が行えました。現在公衆衛生看護を中心に、地域在宅部門で教育に携わっています。ぜひ幅のある看護の専門職になってほしいです。
私のキャリア
都道府県・保健所、市区町村・保健センター→養成所・大学等
キャリアプラン
職位には、教授・准教授・講師・助教・助手がありますが、大学によりその構成は様々です。授業を責任もって担当するのは助教以上となります。
教育・研究・大学運営の経験を積み上げながら職位を上げていきますが、昇格に博士の学位が必要な場合もあります。修士課程を修了して教員となった場合は、計画的に学位を取得することが大切です。
同じ大学内の専門分野のポストは限られるため、他大学に転職しながら昇格していくことも多くあります。そのため、学会活動などを通してネットワークを築いていくことも大切です。組織の一員でありつつも、研究者としては自立し、自分で計画しながら業績を積み上げていくことが求められます。