介護老人福祉施設
(特別養護老人ホーム)
特養は、高齢者を対象とした施設であり、看護職は利用者の人生の最後までの生活支援を行います。また、特養では、2004年より看取り介護加算が算定できるようになり、現在約7割の施設で実践されるようになりました。この加算を契機に入居時から、施設が主体的に入居者の看取りまで見据えたプランを立案し、暮らしの延長線上の自然な看取りを多職種で支えています。施設の見取りの中心は看護職です。その支援は入居者だけでなく、他職種にも及びます。特養の看護職として、入居者や家族、他職種とのコミュニケーションを何よりも大切にし、入居者の最晩年が身体的にも精神的にも安らかであるよう、看護職の力量が発揮できる職場です。
仕事の内容
特養では、利用者が入居する際に疾患等の全身状態を把握することはもちろんですが、他に生活スタイル等、その方が今まで過ごしてきた日常を様々な側面から把握し、日々のケアに活かす必要があります。
特養で働く看護職は、利用者の健康マネジメントをはじめ、近年では看取りケアの中心的役割も担っています。また、利用者が施設外の医療機関に受診する際は、看護職が付き添い、医師や家族に特養での健康状態等を説明します。利用者の中には医療機器(在宅酸素機器、在宅輸液ポンプ等)を使用している方もおり、その管理も看護職が責任を持って行います。
特養は介護職員が多くを占めるため、ケアの場面では互いに協力し、医療的な知識や技術が必要な場面では看護職が舵を取り、時に施設内で研修等も開催します。特養で看護職の占める人数の割合は少ないですが、看護職が担う役割は大きいです。
一日の流れ(例)
働く人のエピソード
[40代/男性]
臨床での経験をまだまだ積みたい20代後半に、法人グループ内の老健に介護看護主任として異動しました。まだまだ“医療介護の連携”がこれからという平成15年の時でした。“高齢者施設での看護の役割”が分かるまでは苦悩の日々でしたが、理解し行動することで、多職種連携による施設経営と組織作りに関心を持つようになりました。平成18年には介護保険法だけでなく、社会福祉法で運営される特養に看護師長として異動し、“生活の場における看護の役割”を学ぶと共に、運営、理念やヴィジョンの実現、戦略を学び、平成21年に施設長に就きました。大規模施設の立ち上げを経験したい希望もあり、特養の立ち上げ責任者として関わり、平成24年に新規特養の開設と施設長を経験しました。平成29年には、医療、介護だけでなく子育て分野、障害分野も含めた事業部の部長として現在に至っています。
私のキャリア
病院(99床以下)→居宅系介護施設(老健、特養、グループホーム等)→居宅系介護施設(老健、特養、グループホーム等)→居宅系介護施設(老健、特養、グループホーム等)→その他(事業部)
[60代/女性]
看護学校の卒後から大学病院で勤務していましたが、子育てを優先したかった為、出産を機に退職しました。子育てが落ち着いた頃に大学病院への復帰を望みましたが、当時は年齢制限があったため叶いませんでした。悩んでいた時、かつての上司の紹介で特養での仕事を始めました。働き始めて、大学病院での経験と知識を活かして働けるということを実感しました。今の仕事を始めた頃には、看護職で介護の現場で従事している人が少なく、手探り状態でしたが、新しい事に挑戦していくこともできたと考えています。病院以外での看護職の活躍の場があったことで、研鑽を積むことができました。
私のキャリア
病院(300~399床)→居宅系サービス事業所(デイサービス、地域包括支援センター等)→居宅系サービス事業所(デイサービス、地域包括支援センター等)→居住系介護施設(老健、特養、グループホーム等)