急性期病院
地域密着型の急性期病院の魅力は、前方連携では開業医の医師たちと、後方連携では地域の連携先の医療機関や介護施設等の職員と一緒に協議会等を設け、患者・家族が安心して地域で暮らせるために地域連携をはかるところにあります。この連携・協力によって、救急医療が必要な患者を迅速に病院へ搬送することができます。例えば循環器・脳卒中の分野では、24時間365日のホットラインを設置するなどの工夫をすることによって救急搬入がスムーズに行われ受け入れ件数も増加できます。また、患者の在院日数は急性期病棟で約10日前後、地域包括ケア病棟でも14日前後が平均的ですが、緊急予定入院も含めて患者支援センターが早期から介入することで、在宅復帰が可能になります。地域密着型の急性期病院では、救急医療に携わるだけでなく、患者の退院後の生活も見据えた看護ケアを必要とします。特に在宅復帰率には看護師の力が大きく関わるため看護師のやりがいにもつながります。
仕事の内容
急性期と言っても患者は高齢の方が多数を占めます。地域に急性期病院が少ない場合、病院の周辺エリア外から来られる患者も多いです。急性期から回復期・慢性期に移行した患者は地域包括ケア病棟を経由し、退院されることもあります。退院後に在宅療養が必要な患者には、病院の看護師が退院後訪問を行い、安心して自宅で過ごせるように支援をします。地域の訪問看護ステーション・医療機関との連携調整も求められます。
一日の流れ(例)
働く人のエピソード
[60代/女性]
4年間の看護教育卒業後、1000床の大学病院で養護教諭になるために看護師として勤務した。しかし、養護教諭にはならず結婚退職し病弱だった子供のためにしばらく家庭に入った。家庭にいた期間は、約13年間。その間保健師のアルバイトはしていた。しかし、大学病院で看護師として勤務していた時、患者さんに対し心の中でやり残したことがあり、他県の300床の急性期病院へ就職。そこで約25年間勤務した。その間、看護副部長5年、看護部長約7年経験した。その間に認定看護管理者を取得した。現在、居住地のある市で同じ規模の病院で勤務しながら、看護管理をする上で、教育学や心理学も必要であると強く感じ、昨年より放送大学教養学部に入学し、心理と教育を学んでいる。いわば、大学生でもある。前期、後期のテスト期間は、睡眠時間を削っての勉強であるが今の所、1単位も落とすこともなく順調に取得している。看護と全く違う世界だからこそ、幅広く物を見る視点が身に付いてくれるであろうことを期待している。「看護師という職業を選んだからには、一生が勉強である」と看護学生に教えているため、まず自分が率先して学ぶことが大切と実践している。
私のキャリア
病院(500床以上)→市町村→病院→病院
[50代/女性]
自分は結婚を機に大学病院を退職した。退職後結婚し、就職せずにいたところ、ナースセンターの方から「結婚して家庭を持ってからでも勤務しやすい病院はあるから」と現在の中規模病院を紹介され、転職した。大学病院時代は夜勤が続くことも多く、結婚後に子育てしている看護師をあまり見ることはなかったが、現在の職場では子育て中の職員も多い。私の子育て時代は育児休業制度などは今よりも充実してなかったが、周囲のスタッフが子育て世代のスタッフを気遣っていることがわかった。自身の妊娠中も温かく気遣ってくれたことが本当にうれしかった。また、未熟な看護師である自分の悩みや患者への思いに対し親身になって相談にのり、看護の素晴らしさを教えてくれる先輩看護師と出会えたことが看護師を続ける原点となっている。その後も私の周りには「すごいな」と思う先輩看護師がおり、目指すべき道を示してくれ、それが今の私のキャリアにつながっている。
私のキャリア
病院(500床以上)→病院(200~299床)