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看護師等養成所

看護師等養成所

教育のおもしろさは看護にも通じるところがあります。人に関わり、人の成長を促し、発達可能性を秘めた若者が看護師になるのを支援する活動です。一人の看護師が10人の患者さんを看護するとしたら、10人の学生を育てると100人の患者さんの看護ができる、そのような実感があるのが看護基礎教育です。なかでも専門学校は小さな規模ですので、学生を手塩にかけて育てるという喜びが実感できます。

仕事の内容

仕事の意義はなんといっても社会に求められる看護職者を輩出することです。専門職として活躍できる知識と技術、そして暖かい心をもった看護職を養成する仕事は今後も重要です。看護教員の業務は①担当する授業(講義・演習・臨地実習指導)を行うこと、②学習についていけない学生や種々の課題を抱える学生への個別指導、③学校の運営に関わること(行事、会議、入学試験等)が主なものです。なかでも主たるものは①です。

一日の流れ(例)

1
8:30
出勤
2
8:30~9:00
ミーティング、学生からの欠席等連絡受け
3
9:00~10:30
授業準備
4
10:30~12:00
授業
5
12:00~13:00
休憩・移動
6
13:00~16:30
臨地実習指導開始、実習指導者と打ち合わせ、学生全員の午後の行動計画の確認、看護場面の指導、看護援助の評価と翌日の援助計画の立案助言、実習指導者と翌日の看護援助の調整
7
16:30~17:00
学生個人ごとに実習の振り返り
8
17:00~17:30
学校に戻り報告、翌日の演習準備
9
17:30
退勤

働く人のエピソード

看護教員の魅力

看護師等養成所に勤める看護教員から、看護教員の魅力についてお話を伺いました。

※2022年に話を聞いた際の情報になります。

A先生のエピソード/学生の「看護が分かった」が1番のやりがい

臨床現場で働く中で、より質の高い看護実践を提供するためには何が必要なのか、教育の立場から考えてみたいと思い教員を志しました。
学生の中には、初めて経験をすることに戸惑い、前に進めなくなっていると感じられる場面があります。そのような時、今、学生の中に起こっていることは何かに着目し、学生と共に課題をクリアしていく過程がこの仕事の魅力だと感じています。
また、学生が立案した看護計画をもとに受け持ち患者へ看護実践した結果、「患者のニーズに応じた看護ができた」「看護が分かった」という表情を見せた瞬間、やりがいを感じます。同時に、学生を大切に育てないといけないと改めて感じます。
さらに、実習先で、卒業生が基礎教育の学びを大切にしながら、看護学生へ実習指導している姿を目にしたときには、とても嬉しく思いますし、人は可能性を持っていると実感することができます。教育は大変な面もありますが、その先には喜び、やりがいがあるので、「教育は楽しい」と感じます。
看護教育は、看護が必要とされる場所に、どのような看護が必要かを考え、創り上げていくことが求められます。今後も、看護が変化の大きい医療提供体制において、どのように動き連携していくかを考え、実践できるよう教育を行い、看護のあるべき姿・役割や機能を考え看護教育を展開できるよう取り組んでいきたいと思います。

B先生のエピソード/教員のやりがいと模索

看護学校卒業時、恩師から「看護師として経験を積んだら、教える側で戻ってきてほしい」と声を掛けてもらい、将来、教員になることを目標に看護師として臨床経験を積み、母校の教員になりました。最初は、学生との適切な距籬の取り方、教台の指導方法や評価方法も分かりませんでしたが、その都度、他の教員に助言を受けながら、無我夢中で取り組みました。
教員3年目、学生自らが看護に興味を持ってもらえるように働き掛け、教員からの一方通行にならないように、学生の気持ちに寄り添い話を聴くことを心掛けた教育を行うようになり、やりがいを感じられるようになってきました。看護教員は、看護師の仕事の素晴らしさを学生に伝えていける、やりがいのある仕事です。また、学生に看護を教えることでは自分自身の学びとなり、自らの成長にも繋がります。学生に理解できるよう伝える役割は想像以上に大変な面もありますが、その大変さも魅力であり得られるものも大きいと感じています。同時に、教育を通して「学生は自分で成長していく力を持っている。自分自身についても、教育に携わる者としての成長が、人としての成長に繋がる」と学びました。今後も学生にどのような教育方法がよいのか模索し続けていきたいと思います。

C先生のエピソード/教育を創るという教員の重要な役割とやりがい

看護師の時、学生の実習指導やプリセプターの役割を担い、人が成長していくことに関わることにやりがいを感じ教員の道を志しました。
教員としてやりがいを感じるのは、本校を卒業した学生が現場で活躍している姿を見て成長を感じた時や、「現場に出て、先生が教えてくれたことがわかってきた」と言われた時です。
昨年、本校は、日本看護協会の委託事業「看護師養成所と病院の人材交流のモデル事業」に参画しました。この事業をとおして、教員は、学生が看護を深く理解するとともに、自ら考え行動できる看護職として巣立てるよう、基礎教育から実践の場の看護職とシームレスな連携の下、教育を創っていくという重要な役割があり、そのことにやりがいを感じました。そして、さらに、学生にとってどんな教育がよいのだろうと考えたり、自分の教育の質をさらに高めたく、看護について深く勉強し続けていけることが、教員の醍醐味であると感じています。

キャリアプラン

臨床経験5年を経て、専任教員養成講習会(8か月)を修了し、専任教員としてスタートします。その後、教員としての業務に携わり、経験を積むと同時に、学内のFD(Faculty Development:教員の教育能力を高める実践的方法)研修等で授業力を磨き、学生に信頼される一人前の教員になります。調査によると新人期は概ね3年程度で、卒業生を輩出する一つのクール(入学から卒業まで)が終了するころには一人前の教員になります。新人期には新人教員研修や上長の指導を受けます。その後、自分の専門性(成人、小児等)を磨きつつ、授業力の向上をめざします。学内のFD研修や県や看護協会等が行う継続教育があります。10年が過ぎるとベテラン期になります。このころに教務主任養成講習会等で学校管理などについて学び、管理者への道が開かれます。
厚生労働省HP:看護教員に関する講習会

○厚生労働省HP:看護教員に関する講習会
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_24892.html