TOP 潜在看護職の復職・プラチナナースの活躍 第二の人生。自分に何ができるのか、自問自答の日々を越えて

第二の人生。自分に何ができるのか、自問自答の日々を越えて

定年退職したR.Nさんですが、「セカンドライフでは、大好きな産業保健や保健指導の仕事と、新たに障がい者支援にもチャレンジしたい」と、復職を果たします。2つの仕事を掛け持ちしながらイキイキと働くR.Nさんに、仕事への想いや復職のきっかけを伺いました。

求められること・できること・やりたいことを追及

私は民間病院の消化器内科病棟で6年ほど勤務したあと、電気機器製造メーカー健康保険組合で30年間、産業保健や保健指導の仕事をしていました。2019年の6月に定年退職をして一区切りついたというか、いよいよ次のステージである第二の人生に足を踏み入れるんだという感覚を持ちましたね。「せっかくだから、少しのんびり暮らそうか…」という自分と、「早く次の仕事を探さなくちゃ」と焦る自分もいたような気がします。私は離婚を経験し、シングルマザーとして子育てと仕事の両立に悩んでいた時期がありましたが、多くの方に助けられ、支えられたお蔭で、今まで看護職の仕事を続けることができました。定年退職後は、その恩返しの意味も込めて、働く女性の支援や子育て支援などができたらと考えていました。さっそく奈良県の女性センターなどへ連絡し、「私は看護師です。私に何かお手伝いできることはありませんか?」と問い合わせたこともあります。しかし残念ながら、そのときは先方が求めている資格や運転免許などの条件が合致せず、復職には至りませんでした。

「これから先、私に何ができるだろう?」と、その可能性を模索する日々を送っていたある日、「世間から求められていること、私にできること、私がやりたいこと」。この3つがうまく重なり合う仕事が、第二の人生を迎えた私にとって1番良い仕事になるということに気付いたんです。そして、ハローワークで前向きに復職先を探していたとき、月に数回、ハローワークにナースセンターの方が来られて、看護師専門の復職相談ができるということを知り、すぐに相談の予約を取りました。ナースセンターの復職支援相談当日、担当された方に色々と相談させていただき、また、自分の想いも伝えたところ、「R.Nさんの夢を叶えて下さい。」と背中を押していただきました。お蔭でそれからは、より前向きに復職に向けて取り組むことができたと思います。

R.Nさん仕事イメージ
R.Nさん仕事イメージ

復職支援研修で臨床経験のブランクをカバー

最終的に私の場合、「世間から求められていること、私にできること、私がやりたいこと」が重なった仕事は2つあり、現在はその両方を掛け持ちしています。1つ目は、「産業保健・保健指導」です。好きだから30年間続けてこられた産業保健や保健指導の仕事は、セカンドライフでも続けたいと思い、数ある求人の中から、福利厚生サービス会社ヘルスサポート部門に応募。2019年の10月から、業務委託の糖尿病重症化予防事業相談員として、高齢者訪問・保健指導を始めました。こちらでの高齢対象者の生活と気持ちに寄り添う事のできる仕事に、やりがいを感じています。2つ目は、「障がい者支援」です。ある日、知人から「臨時募集のユニバーサルキャンプ救護班に参加してくれないか」と打診があり、2泊3日のキャンプに参加しました。ユニバーサルキャンプは、年齢や国籍、障害の有無にかかわらず、みんなで楽しむことが目的なので、発達障害の子どもなども来ていました。このキャンプを通して、障がい者の支援がしたいと思い、特定非営利活動法人 身体障害者生活介護事業所の求人に応募し、2019年11月より週3日で勤務しています。

復職するにあたり、心配だったのは臨床経験が不足していたことですね。臨床を離れて30年以上が経っていましたから、特に障がい者の医療的ケアなどに不安がありました。そこで、ナースセンターが主催している復職支援研修のカリキュラムをほぼ全て受講しました。救急医療から包括ケアまで、幅広いフィールドで活躍する認定看護師の講義に、看護の専門性の高さを感じましたね。キャリアのある看護師と比較して、自分は役に立てていないと思い悩んでいた時、ナースセンターの担当者に胸の内を明かして気持ちを立て直すことができました。復職して1年が経った現在も緊張の連続ですが、看護師として「必要とされる喜び」を感じています。もし私のように復職に不安を抱えている方がいたら、自分の気持ちに正直に、出来る役割を探すことから始められたら良いと思います。

プロフィール

1981年から天理よろづ相談所病院の消化器内科病棟に勤務。その後、電気機器製造メーカー健康保険組合の事業所健康管理室に勤務し、2019年6月の定年まで勤め上げた。現在は復職し、福利厚生サービス会社ヘルスサポート部門および特定非営利活動法人 身体障害者生活介護事業所の仕事を掛け持ち。忙しいが充実し、幸せな毎日を送っている。30代で離婚を経験。シングルマザーとして看護師の仕事と子育てを両立しながら、3人の子ども(長男、長女、次女)を立派に育てた。母の背中を見て育った娘たち(長女と次女)も、現在看護師として活躍中。